東京高等裁判所 昭和35年(ラ)715号 決定
よつて按ずるに、記録によれば本件執行取消申立の理由及びこれに対し原決定のなされた経緯は抗告人主張のとおりであり、右決定は民事訴訟法第五百四十九条第四項、第五百四十七条第二項に基いてなされた執行取消の裁判であることが明らかである。ところで右の裁判は本案の判決があるまでの一時的応急的な仮の処置を定めるもので、本案の訴に附随する性質をもちそれ自体独立した裁判ではなく、この点において民事訴訟法第五百条、第五百十一条、第五百十二条の裁判と同じ性質を有するものと解される。そして右後者については不服の申立を許さない旨明文をもつて規定されている(同法第五百条第三項、第五百十一条第二項、第五百十二条第二項)が、その法意は右裁判が応急的な本案に附随する仮の処置を講ずるためのものであるという前示の性質をもつものであることに鑑み、これを本案判決に至るまで一応その侭におき不服申立により争訟の多岐にわたることを避けようとするにあると考えられる。従つてその趣旨は前示の点においてこれと同じ性質を有する民事訴訟法第五百四十九条第四項、第五百四十七条第二項による裁判にもそのまま妥当するのであるから、これについても同法第五百条第三項の規定を類推し、右裁判については同法第五百五十八条の適用はなく、これに対し不服申立は許されないと解するのが相当である。
(梶村 岡崎 安岡)